「HVDC+12Vシステム対応機器」

お初にお目にかかります。
さくらインターネット 開発部の古澤と申します。
HVDCプロジェクトでは実験サーバ、環境の構築に携わりました。

今回は今までにお伝えしてきましたHVDC+DC12Vシステムの技術・ファシリティと並んで重要なポイントであるDC12V対応機器についてお伝えいたします。

 

  • AC/DCとATX電源
  • 自作PCを嗜む方はよくご存知だと思いますが一般的なPC/サーバで使用されるATX電源の仕様は入力電圧が100-120V/200-240V
    出力電圧が+3.3v,+5V,+12V,-5V,-12V,+5VSBと定義されています。
    入電がAC100VであればATX電源がAC/DC変換を担い、各パーツへ給電を行います。

    ATX電源の変換効率には80Plus規格があり変換効率向上、発熱減少、劣化低減に切磋琢磨してきた歴史があります。

    参考:ATX12V Power Supply Design Guide version 2.2(PDF)
    参考:80 PLUS(R) Certified Power Supplies and Manufacturers
    一方でHVDC+DC12V方式が末端の機器で個々に行っていたAC/DC変換を除くことで、省電力にアプローチする点は本ブログでもお伝えしてきたとおりです。
    末端の機器にはシステムでAC/DC変換とDC-DC変圧を済ませたDC12Vが給電されます。

     

  • DC12V対応サーバを作る
  • 前述のとおりシステムの末端に位置するサーバにはDC12Vの入電があり、要求される仕様に沿った動作電圧を給電することでサーバは動作します。

    これはサーバ電源の換装で機器への入力電圧の変更が可能なことを意味し、そこには様々なメリットが生まれます。

     

    弊社のメリットを例に取ると、汎用性に優れたACと効率性に優れたDCとで別個の仕様のサーバを調達する必要がなく、流動性と効率性に優れたサーバの利用ひいてはサービス開発へと繋がります。

    また、DC-DC変圧を行うコンバータはAC/DCコンバータと比べ単純な構造、少ない部品点数、省スペース、低発熱、安価な回路設計で実現可能です。
    電力削減はもちろんのこと、細かな部品とコンポーネントの塊であるIT機器の故障率低減にも寄与します。

     

    以上を実証すべくプロトタイプとなるDC/DCコンバータ、DC12V対応サーバの作成に臨みました。

     

    ▼ATX電源とDC/DCコンバータ

    144x80x15mm程度の大きさの設計です。より小さな部品として実装することも可能ですが汎用性の観点からATX電源コネクタを実装し、筐体へのネジ止めが可能なサイズとしています。

     

    ▼電源換装オリジナル2Uハーフサーバ

     

  • 実証試験 第1フェーズ
    「このサーバは果たして動作可能なのか」「使用感は如何なものなのか」「特有のトラブルは発生しないのか」「効果はあるのか」
    以上のような言わば未知の機械に触れるも同然の出発点でしたが第1段階の実証実験結果については無事本ブログの記事にてご報告させていただくことができました。
     

    上記の記事では総合効率90%の実現に焦点を当てていますがサーバ単体の消費電力でも目覚ましい結果を残しています。

    ▼消費電力測定結果

    ※高精度・高効率・高価なATX電源との比較であればまた異なった値であると予測されます。
    ※メーカー製サーバを12V稼働させた際には同条件にて7%~11%の消費電力減を認めました。

     

    また、省電力効果にも以後の課題となる様々な知見を得た実証実験でした。

    懸念であったシステム・DC/DCコンバータのトラブルは懸念どおり発生し、システム側とDC/DCコンバータ側両面での横流対策、突入電流対策として解決を見ることとなりました。

    ※実証実験結果、消費電力測定は発生したトラブルへの対策を施した構成で取得しています。

     

  • 実証実験第2フェーズ
  • 第1段階の実験結果と課題を踏まえ、製品化と普及を睨んだ第2段階の実験環境としてHVDCコンテナの構築を行いました。
    HVDCコンテナ実験環境は北海道では遅めの初雪の中バージョンアップしたDC/DCコンバータを搭載した弊社オリジナルサーバ100台余りの他、3ベンダ5機種でスタートしました。

    システムの継続稼働から半年余りが経過した2012年7月現在、様々な企業の参加・ご協力をいただき、7ベンダ10機種のサーバ/ネットワーク機器が12Vで安定稼働を続けています。

     

    HVDCコンテナの構築については以下の記事を参照ください。
    「さくら石狩HVDCプロジェクト」石狩データセンターでの実証実験環境(コンテナ)完成!!

     

    ▼HVDCコンテナ実験環境の12V対応機器の顔触れ

     

12V対応機器の展望
プロジェクトを通じてHVDC+DC12V方式の有用性は知られることとなりましたが、対応IT機器の選択肢は現段階では満足できるものではありません。

IT機器を用いてホスティングやコロケーションといったインフラ・サービスの提供を生業とする立場として、高効率・高信頼という観点から優れた製品が潤沢に投入されることを期待すると同時に普及の必要条件と捉えています。

 

そんな折、DC12Vに対応した現行世代サーバの製品発表がありました。
AC,DCの両方に対応したモデルです。
省エネ直流給電ソリューション XECHNO Power(ゼクノパワー)販売開始
IBM System x3550M4、x3650M4

 

プロジェクトに参加いただいたベンダの中でも製品化に向けて開発が進んでいます。
その他のベンダや製品についてもプロジェクトでの働きかけを続けています。
今後も本プロジェクトはシステムの認知と対応機器の増加に焦点を当て、普及を推進していきます。

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