技術・設備について

石狩データセンターの地震リスクについて

冒頭、今回の震災により被害を受けられた皆さま、ならびにご家族の方々に、謹んでお見舞い申し上げます。

弊社の対応情報等は以下のページにまとめられておりますので、ご参照ください。
東日本大震災に関連した情報 | さくらインターネット

石狩データセンターにつきましては、震災の影響により資材・電材の不足も懸念されるなか、工期に遅れがでぬよう関係者一丸となって鋭意対応にあたっております。

 

さて、今回は石狩データセンターの地震リスクについて、ごくごく簡単にではありますが「地震発生リスク」「液状化リスク」「津波リスク」の3点について、 以下紹介させていただきます。

 

■ 地震発生のリスク

地震調査研究推進本部(地震ハザードステーションJ-SHIS)により、「今後30年間 震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」の分布図が公表されており、石狩データセンター建設地は 0.1~3%と、非常に低い確率となっております。

 

■ 液状化のリスク

地盤調査及び詳細解析を大成建設様に実施いただき、液状化発生の程度は少なく、また仮に発生した場合でも沈下量は小さく範囲も部分的であるとの見解がでております。
石狩データセンターは二層構造となっており、高層ビルとは異なり建物自体の重量も比較的軽いため、深刻な沈下は発生しづらいといえます。
また万が一にも地盤沈下が発生した場合に備え、電源や通信の配管部分にも配慮しております。

 

■ 津波のリスク

北海道総務部危機対策局より、「津波シミュレーション及び被害想定調査業務(北海道日本海沿岸)報告書」が公表されております。
想定される6つの地震の建設地周辺での津波最大遡上高(陸上での最高到達点)に対し、建設地の地盤高はいずれも上回っております。
また過去の例からみましても、今回の東日本大震災はもとより1993年の北海道南西沖地震の場合でも最大の全振幅は70cm程度でありました。

 

以上3つの分析により、いずれもリスクは低いものであることがわかっております。
勿論今回の震災のように、想定したリスクを超える災害が発生することは誰にも否定できませんが、それでもお客様の大切なデータをお預かりするデータセンターの立地という点で、基本的なリスクが少ない土地であるということはご理解いただければ幸いでございます。

(設備担当「か」)

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HVDC(高電圧直流給電)システムの実証実験発表について

弊社ホームページ上でもニュースリリースとして発表していますが、NTTデータ先端技術社河村電器産業社日商エレクトロニクス社と当社の4社間で「さくら石狩HVDCプロジェクト」を発足させていただきました。

すでに、プロジェクトに関しての目的や効果は、ニュースリリースの記事でも記載されていますので、詳細な説明は省かせていただきますが、データセンターの電源設備の入り口部分である高電圧交流の電源設備部分(いわゆる交流6600V系)~サーバに供給する低電圧直流(いわゆるDC12V系)までの全体部分で、総合的な電源効率を90%以上実現することは、従来の一般的なデータセンターで構成している直流~交流変換を繰り返す電源設備構成から大きく様変わりする構成となり、およそ10%~20%の電力効率の向上に繋がるため、これまで各電源設備やサーバ電源部分で変換ロス(すなわち発熱として消費)となっていた部分が、大幅に改善されるようになります。

これらの取り組みを実施することにより、ランニングコストの削減やCO2排出量の削減につながることになり、データセンターを運用する立場のメリットは大きなものになると考えています。

消費電力の削減効果

※クリック拡大

 

このような大きなメリットがあるHVDC(高電圧直流)給電方式が、なぜこれまでのデータセンターでは本格的に取り入れてこられなかったのか、個人的な考えとなりますが、以下のように考えています。

●なぜ今までHVDCは普及しなかったのか?

・これまで検討されてきた高電圧直流のままサーバへ給電する方式では、規格の統一・安全性・販売見込みに課題が多く、殆どのサーバメーカーが前向きに対応してこなかった。
→サーバが普及しないとユーザの拡大に繋がらないため、電源設備側の高電圧直流への対応も実施されない。

※今回当社が考えているサーバラック内での集中電源化‘DC340V-12V’変換方式では、上記問題が解消されます

HVDC 12V方式の概要

※クリック拡大

 

●なぜさくらインターネットがやるのか?

すでに上述したように、HVDCサーバの最大のメリットが享受できるためには、スペース・電源設備のインフラ~サーバ運用部分まで、全体を統合した上で検討・構築しないと実現できません。

垂直統合型データセンターサービスを提供できているさくらインターネットと電源インフラ部分を担うNTTデータ先端技術および河村電器が協力することにより、HVDCシステムの一体化による電力効率の向上・省エネ化・運用コストの削減が可能となり、日本一の高効率サーバシステムの実現が可能になると考えています。

まずは、実証実験ということでプロジェクトを開始いたしますが、最終的には本プロジェクトを遂行し、石狩データセンターに本格導入することで、さくらインターネットが石狩データセンター建設計画リリースの際にも発表させていただいた、「日本のITコストを世界標準にする圧倒的な低コストの実現」に寄与することの一役として貢献できるものと考えています。

また、現在国家レベルの課題である電力問題に対するデータセンター業界の取り組みの第一歩として、次世代データセンターのスタンダードを確立していきたいと考えています。

(石狩データセンタープロジェクト担当「うま」)

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「北の大地にデータセンターを」~石狩データセンター計画がスタートするまで~

さくらインターネット 田中邦裕

こんにちは。さくらインターネット代表の田中です。
今回は、当ブログにて石狩データセンター計画がスタートするまでの経緯について私からご紹介させていただきます。

※このコラムは、昨年末に日本Apacheユーザ会のイベント出展に際して、冊子に寄稿したものですが、メンバーの快い承諾を受けてこのほど転載させていただくこととなりました。
一部、年月日表記のみ修正を加えていますが、内容は原文のままとなります。

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1. はじめに

さくらインターネットでは、2010年の6月21日に、北海道石狩市へのデータセンター建設計画を発表しました。計画総ラック数は4,000ラック、1ラックあたりの供給電源は8kVAという、国内でも最大規模のデータセンター計画であり、多くのメディアやブログなどにおいても言及を頂きました。

しかしデータセンターというと大都市におかれるものという認識が多いなか、東京から遠く離れた石狩に作るということに驚かれた方も多いのではないかと思います。

かくいう私も、当初は北海道へのデータセンター設置に対しては懐疑的であり、北海道庁大阪事務所の方から誘致の話を聞かされた時も、上の空であったことを思い出します。
そのような中にありながら、なぜ今回のデータセンター計画を始めたのか、これまでの経緯について書きたいと思います。

2. データセンターの基礎
データセンターは、通信機器やサーバなどを設置するための建物・設備の総称で、昔から電電公社の電話交換局や、銀行などの電算センターといった形で存在していました。

そのようなデータセンターは、大都市郊外の地盤が良い地域(関西なら千里地区、関東なら多摩地区など)に設置され、そこから専用線で全国の拠点につながる形となっていました。

それが90年代後半からはインターネットバックボーンの引き込まれた、インターネットデータセンター(IDC)へと変わり、インターネットバックボーンに接続しやすい大都市中心部に移り始めます。
現在新設されるデータセンターの多くは東京23区内に集中している状況であり、中でも大手町付近は古くからIX(インターネットエクスチェンジ)が存在していることなどから、データセンターのメッカとなっているのはご存知の方も多いと思います。

しかし、大都市は土地の値段が高く、且つ高層ビル構造となることから建設コストも高く、おまけに大容量の電力を確保するために要する電力会社への負担金もバカになりません。
そのため、海外ではデータセンターは郊外で作るのが一般的となっており、インターネットコンテンツの多くが街中から姿を消しました。

3. 最初の郊外型データセンター計画
私が郊外にデータセンターを作ろうと考え始めたのは2007年の事でした。
そのころデータセンターの拠点数が増えたことによる人員の分散や、拡張性に乏しく欲しいときにすぐラックを用意できないといった様々な問題を抱えており、その解決のため1拠点の大規模化を目指していたのですが、都市部では莫大な投資がかかってしまうということから郊外の好適地を探していました。
そして、岐阜県大垣市のソフトピアジャパン にデータセンター設置の打診をしたのがその年の7月の事です。

ソフトピアジャパンは、東京と大阪の光ファイバーの結節点となっている個所でもあり、郊外といえども東京や大阪と同じ回線環境が得られるという絶好の立地でした。
郊外にありながら、回線環境が確保できるということで、ホスティング専用であれば問題ないだろうと考えたわけです。

しかしながら、1拠点あたりのラック数を増やすことによる運用効率の向上と、平屋に近い形で建物の建設コストを抑えたいという考えに対して、それに答えられるだけの広大な土地が確保できないということがネックになりました。

さらに追い打ちをかけたのが、好景気と資源高です。
当時は好景気の真っ最中、設備投資が相次いでいた時期で建設コストが高騰しており、おまけに毎週のようにマンホールのふたが盗まれるくらい資源高が続いていました。
ソフトピアジャパンの持つ地の利や、岐阜県庁の方々を始めとする地元自治体の丁寧な対応など、たいへん後ろ髪をひかれる思いではありましたが、その時は郊外型をあきらめ、大阪堂島においてホスティングに特化・効率化したラックルームを増設することになります。

4. 復活した郊外型データセンター計画
先の計画から2年後、2009年の夏に北海道庁大阪事務所の方がコンタクトを取ってこられました。
初めて北海道にデータセンターを作らないかという話を聞いた時には、「そんな遠くて問題無いのか」「回線はどうするのか」「寒さは大丈夫なのか」など、多くの疑問がわいてきたことを思い出します。
当然のことながら視察の要請を受けましたが、のらりくらりとかわし、結局視察に行ったのは暮れも押し迫る12月の事でした。

百聞は一見に如かずと言いますが、北海道は難しいと思っていた気持ちは、この視察の初日に瓦解することとなります。
大阪の自宅を8時前に出て新千歳空港に着いたのが10時半、そこから石狩までは1時間程度ですから、東京支社に行くのと大きくは変わりません。まずその時間に、「遠くはないな」という気持ちを持ちました。
そして実際の視察へ向かったわけですが、限りなく広がる北の大地を前に、私たちのビジョンの一つである「スケールメリットと柔軟性を兼ね備えたコスト競争力の高いITインフラの実現」という言葉が結びつきました。

さらに回線に関してもキャリアとの交渉次第で大容量回線(10Gbps以上)が引けるという情報を得て、RTTについても15msec~20msec程度と十分に短い時間であることが確認できたことから、現実的な選択であるという結論に至ります。

またその頃はリーマンショックの影響もあって、建設コストも資材コストも下がり、円高基調も相まって以前に比べて投資が非常に小さくできるということも計画を後押しすることになります。
その後、すぐにプロジェクトチームが結成され、2010年4月には仮設計と見積もりを済ませ、5月に大成建設で行うことも決定し、6月に対外発表するに至りました。

5. 今後の展望
石狩データセンターでは、広大な土地を最大限生かした拡張性と柔軟性を実現したほか、北海道の冷涼な気候を生かした外気空調による電気代の削減など、運用コストの低減が実現されます。
電気代については40%程度の削減が出来る見込みであり、それによる電源設備の削減も可能になることから初期投資額を抑えることが可能です。

現在の業界標準となっている都市型データセンターでは、より立地条件が良く、よりティアレベル が高いデータセンターが目指されていますが、これは多くの顧客の声に答えた正しい行動であり、『イノベーションのジレンマ』 における『持続的イノベーション』といえます。

それに対して石狩データセンターは、『破壊的イノベーション』といえ、既存の顧客の声に必ずしも答えたものではないかもしれませんが、多くの顧客はファシリティではなくサービスを購入したいと考えており、近い将来に多くの顧客にとって当たり前の選択になるであろうと考えています。

なお、郊外型データセンターを語るにあたって避けては通れないのがインターネット回線であると思います。
当然のことながら都市部に比べると回線の調達は楽ではありませんが、既に石狩データセンターでは東京まで冗長化された2系統の10Gbps回線を確保しており、回線のビット単価についても複合学習曲線に沿って永遠に下がるものと考えています。

『FREE(フリー)』 において、ジョージ・ギルダーの『未来の覇者』からの引用で次のように書かれています。

生産において物質の占める割合がとても小さい場合には、
生産量を増やすにあたって物質的な問題はあまり障害にならない

何を言いたいかというと、土地や建物、電気設備については低減することは非常に難しいわけですが、回線コストについてはこれからもイノベーションにおいてどんどん下がっていくものと思われます。
ましてや相応のスケールメリットがあれば、データセンターのコストに対して回線コストが十分に安いという状況が生まれます。

石狩データセンターの成否は、そのスケールメリットに集約されると考えています。
いかにサービスを投入し、いかに多くのお客様に利用頂き、ビットあたりの保存コストを、1コアあたりの利用料を、どれだけ安価にしていけるのかがポイントになります。

さくらのVPSにおいても月々980円と非常に安価なサービスを実現しましたが、石狩データセンターの完成によってさらにコストパフォーマンスの向上が目指せるでしょう。

データセンターが完全なフリー(無料)になることはありませんが、石狩データセンターは「安すぎて気にならない」くらい、手軽に使えるインターネットインフラを世の中に提供し、自分のやりたい事をフリー(自由)にインターネットで実現できる社会のために寄与してくれるものと考えています。

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さくらインターネット株式会社 代表取締役社長
田中邦裕

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石狩DC BLOG OPEN!

クラウドコンピューティングに最適化した郊外型大規模データセンター「さくらインターネット 石狩データセンター」のブログを開設いたしました。

当ブログでは、石狩DCの建設過程や、石狩DCに関するセミナー・イベント情報、メディア掲載情報、石狩DCで採用する最新技術や設備等についてご紹介してまいります。

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